「声優ブームが終わったのは、VTuberにファンを取られたからだ」
そんな声をよく耳にします。
ですが、私はそうは思いません。そもそも「両者の客層」つまりファンが求めているものが根本的に違うからです。
そもそも「声優ブーム」というもの自体、本当に存在していたのでしょうか。
私は学生時代(2012年ごろ)から声優オタク、いわゆる声オタとして活動してきました。
多いときは地方から東京まで毎月のようにイベントへ通い、8年間ほど続けていました。
「声優グランプリ」や「声優アニメディア」は毎号購入し、他の雑誌も買い集め、今も全て保管しています。
地元でもトップクラスのガチ勢だったと思います。
そんな私でも、いくつかの理由から数年前に声オタを完全に引退しました。
今はにじさんじのVTuberの配信をよく見ますが、どちらの世界にも触れてきた身として言えるのは
「VTuberが好きになったから声優オタクをやめた」という流れは起こりにくいということです。
正直、両者は別世界です。これに尽きます。
声優とVTuberファンの典型的な違い
声優が好きな人とVTuberが好きな人の典型的な違いは「2次元と3次元のどちらを中心に追っているか」にあります。
声優オタクは、なんだかんだで「3次元の存在が好き」な人たちです。
私自身、当時「2.5次元」とよく言っていましたが、正直なところ3次元ですね。
一方でVTuberは、3次元の中の人がいるとはいえ、あくまで「2次元キャラクターとしての存在」
ファンの多くが「キャラクターが第一」という意識が強い。
VTuberの中の人ありきで好きなら「卒業」しても「転生」すれば全然いいよ。って考えになるはずですが、実際にはそういうファンは少数派です。
つまり「3次元を追っていた人が2次元に完全移行して声オタを辞める」という構図が、そもそも成り立たないのです。
共通点があるとすれば、アイドル系アニメが好きな声優ファンが、VTuberの3Dライブ配信に「似た雰囲気」を感じることぐらいでしょう。
声優ブームの終わりとVTuberは無関係
私は声優オタクには大きく分けて2種類いると考えています。
①アイドルマスターやラブライブ!といったアイドル系コンテンツが好きなタイプ
② 男性・女性問わず、人気声優そのものを応援していたタイプ
①のタイプは、VTuberにもハマりやすいです。キャラクターに対する熱量が大きく、その声優さんも大好きになる。ただし、その人たちはそのまま声優オタクを続けていることが多い。
アイマス系やラブライブ系の派生ユニットは次々に登場しており「シャイニーカラーズ」や「シンデレラガールズ」など、どれも高い人気を保っています。
むしろここ数年の声優ファンはこのような人たちが多く残っており、業界を支えているかなと。
一方で②のタイプは、2010年代半ばあたりのアニメで活躍していた人気声優個人が大好きだった人たち。
ちなみに私は②に該当します。
①とは逆で、キャラクターよりも声優本人が第一。①のタイプともやや距離があり、VTuber界隈とも少し違うように感じます。
②のタイプは新規が増えていないのが現状であり、私のように引退していく人も増えていった。(私が声優オタクを辞めた理由で後述)
私が感じる「声優ブームの終わり」は、まさにここにあると思います。
要するに、
①のタイプはVTuberに移行しやすいが、そもそも声優オタクを辞めていない。
②のタイプはVTuberが好きになったから声優オタクを引退とはならない。
→声優ブームの終わりとVTuberは無関係
これが、私が一番伝えたいことです。
声優ブームとは?本当にオワコンなのか
そもそも「声優ブーム」なんてものは、本当に存在していたのでしょうか。
声優を取り上げれば視聴率をとれると踏んだメディアが声優を起用しまくって「時代は声優!」と勝手に印象づけただけ。
地上波で声優が当たり前のように出演する時代になり、正直私は萎えました。知る人ぞ知るサブカル的な感じがよかったんです。
一般的に声優ブームと呼ばれるのは、2015年〜2022年頃でしょうか。
悲しいことに、声優界を支えてきた二大雑誌「声優グランプリ」と「声優アニメディア」のうち、後者が廃刊になったのは象徴的な出来事でした。
正直、声優界の新世代があまりハマっていないというのは残念ながらあると思います。アイドル売りするしかない的な現状があるのでしょう。
声優ブームの中心にいた人気声優たちは当時20〜30代。ファンと共に年齢を重ね、結婚などの報告も増え、アニメなどで目にする機会は少しずつ減ってきました。
そして、若手の登場によって世代交代が進む中「新しく強く惹かれる人が少ない」と感じる人も多いでしょう。
結果として、新規ファンは増えにくく、一方で引退する人も増えていった。
それが、今の「声優ブームの終わり」と言われる状況なのだと思います。人気が衰退しつつあるのは事実だと思います。
SNSなどでは「声優オワコン」と言われることも増えましたが、個人的には少し違うと感じています。
ブームという一時的な盛り上がりが落ち着いただけで、声優という職業や文化が衰退したわけではありません。
残っているファンは確実にいますし、声優ライブにも今も多くの人が足を運んでいます。
むしろ今のほうが、声優さんたちにとって自由に活動しやすい時代なのかもしれません。
私が声優オタクを辞めた理由
ここからは、私個人の話になります。
簡単に言えば「お金や時間を使ってまで会いたいと思わなくなった」ということです。
もう少し踏み込むと「自分とはまったく違う世界にいる人にお金を使いたいとは思わなくなった」という方が近いかもしれません。
今でも当時好きだった声優さんは変わらず好きですが、情報を追うことはほとんどなくなりました。Xで流れてくるのを見るぐらい。
学生時代は「ワンチャン声優さんと知り合えたらな」といった淡い期待を抱きながら応援していました。
ですが、社会人になって現実が見えてくると、その気持ちは自然と薄れていきました。
当時は「認知欲求」もありましたね。ファンレターを書いて「少しでも覚えてもらえたら」と思っていました。
でも今振り返ると「仮に覚えられたとして、だから何なんだろう」と感じます。
突然の結婚発表に「推しじゃなくてよかった、あぶなかった!」なんて思うのも疲れてしまって。
気づけば「もういいかな」と思うようになりました。
もともと「30歳くらいで声優オタクは引退かな」と思っていましたが、数年ほど早まりました。
その頃は凄く楽しかったのは確かですが、今はもうそういうのはいいっすね・・・
もう一つ、決定的だったのがメディアの過剰な声優推しです。
当たり前のように声優が地上波に出るようになり、
「進撃の声優」「鬼滅の声優」・・・
またっすかって。極めつけはレギュラー番組まで持っちゃう。何か違うんすよ。
BSやネット番組でたまに見れる存在だったからよかった訳で、こうなった時点で、好きだったサブカル文化が壊れてしまったと感じました。
これがもういっかな。と思ったきっかけではありますね。
私が今でも好きな方の一人、中村悠一さんが個人だったりマフィア梶田さんとyoutubeでゲームチャンネルをやってますが、こういうのでいいんすよね。
杉田さんとの東京エンカウント好きだったなあ。
これからの声優界、どうなるんでしょうか。遠くからそっと見守っていこうかと思います。


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